ヘリテージマネージャー(地域歴史文化遺産保全活用推進員)の役割 2023.9.9

ヘリテージマネージャーの役割とは、
地域に眠る歴史的文化遺産を発見し、保存し、活用して、地域づくりに活かすこと。
→現在、全国で約5000名。山口県は62名います。
1.地域に眠る歴史的建造物を発掘し、再評価する。
2.歴史的建造物の保全・活用提案をする。
3.地域固有の文化・風景について常に研鑽し熟知する。
4.伝統工法の知恵に学ぶ謙虚さと確かな技術力
5.地域の人達とともに汗を流し、歴史的建造物が地域の財産として地域ぐるみで大切にしていく環境づくりを行う。
6.建築士が本来求められている職能と歴史的建造物の保全活用といった文化財保護的な考え方との両立をする。

○歴史的建造物の保存活用を進めるにあたり、
・スクラップ&ビルド信仰が根強い。ストックの意識が弱い。
・歴史的建造物の歴史的・文化的価値をわかる人が少ない。
・行政各部門との連携・調整をとるのが難しい。
・行政内にも歴史的建造物の価値を理解する人が少ない。等の問題。

○現状は、
・「未指定」文化財は、修理の個人負担が大きく、法的な位置づけがないため、取り壊されている。
 全国民家、近世社寺、近代遺産、近代和風などの調査が望まれている。
・震災や火災で歴史的建造物が失われ、景観・風景か消失している。
 応急危険度判定士による、やむを得ない安易な判断もある。



こうした状況を見据え、新たに見つけた建造物の歴史的・文化的価値を行政・住民に訴え、リノベーションやまちづくりの観点から、具体的に保存活用の提案を行っていくことが求められています。
・歴史的建造物の発見、調査、評価、リスト化
・歴史的建造物所有者からの相談、助言
・歴史的建造物の保全・活用提案

ヘリテージマネージャー発足の背景
・阪神淡路大震災の発生
・社会の動向:スクラップ&ビルドからストックの時代へ。
・風景の回復、景観形成
・文化財行政の変化:活用保存の文化財登録制度の登場

「登録有形文化財」登録の条件

・原則、建設後50年を経過したもののうち、
 1.国土の歴史的な景観に寄与しているもの
 2.造形の規範となっているもの
 3.再現することが容易でないもの

山口県ヘリテージマネージャー協議会の設立(2018.12)

学ぶべき事

1.実践的なスキルを身につける:現地実測、登録文化財所見策定、保存修理工事の現地視察。
2.リノベーションを常にイメージする:保存活用への動きを察知し、迅速な対応。
3.建築士以外の人達とのネットワークをつくる:行政、講座、住民整備要望のとりまとめ。