第3回:達人フォーラム:伝統工法の耐震改修
伝統工法は歴史と文化を今に伝える地域の宝。適切に改修することで次世代に伝えよう。
※典型的な伝統工法住宅は、土台に相当する部材が無く、構造的には足固めが不十分。柱の上部には鴨居を兼ねた立派な差し鴨居があり、この差し鴨居と一体化した垂れ壁を梁とする柱脚ピンのラーメン構造が伝統的構法住宅の構造形式。貫を現わしとした土壁も伝統工法の特徴。
○伝統工法建物の改修にあたっては、耐震性をあげるには、軽い屋根に吹き替えるのが有効。屋根を軽くしないのであれば壁を増やす必要が出てきて間取りを大きく変える必要がでてくる。屋根の改修は、本来最後の手段の位置づけだが、伝統的工法は例外。
乾式瓦屋根だと、初期2.4kN/㎡→1.30kN/㎡、ガルバニウム鋼板だと0.95kN/㎡にまで軽くなる。
○伝統工法の2階は壁が多く、柱の多くが通し柱であることから、2階の改修は不要と思われる。評点が低くても気にせず、1階を改修するのが良い。
○強い耐震壁にする程、荷重を大きく負担するため、引抜力も大きくなる。柱に適した金物補強をするとともに、梁の接合部も金物補強する。
○柱の脚部が石に乗っている場合が多い。脚部を固めたいので、コンクリート布基礎あるいは、土間コンを打ち、柱に沿わせて土台を設け、金物で固定し、基礎Ⅱとする。基礎Ⅰはハードルが高い。土台の無いところには柱仕口金物は入らない。足下を固める工夫をして、適切に柱仕口金物を入れる。