①□地震力算定用の建物荷重W:階高を2分した重さを最上階は7KN/㎡、他階は3.5KN/㎡とする。(スラブ厚130)W=10500KN
5F(300㎡),4F(300㎡),3F(300㎡),2F(300㎡),1F(300㎡)の場合、
R階:7×300㎡=2100KN、5階:3.5×300㎡×2=2100KN、4階:3.5×300㎡×2=2100KN、3階:3.5×300㎡×2=2100KN、2階:3.5×300㎡×2=2100KN、
②□1階X方向(S造ラーメン)の 保有水平耐力Quを求める。柱の曲げ耐力Mc=Zp・σyの式を用いる。(Zp:塑性断面係数、σy:降伏強度=基準強度F値)
柱(H型鋼)の上下の曲げ耐力Mcを求め、Mcを基に柱の剪断耐力(保有水平耐力Qu)を求める。
○鋼材SN400B(F=235N/mm2)、σy=235N/mm2(F値と同じ)
○1階梁の断面(H-600×200×11×17)のZp=2900cm3(学会性能表より)
○1階柱の断面(H-414×405×18×28)のZp=5030cm3(学会性能表より)
□1階梁の曲げ耐力Mg=Zp・σy=2900×10^3×235×10^-6=680KN・m(cm3=10^3mm3、N=10^-3KN、mm=10^-3m)
□1階柱の曲げ耐力Mc=Zp・σy=5030×10^3×235×10^-6=1180KN・m→柱の軸力を考慮し85%耐力とする。1185×0.85=1000KN・m
外柱 | 内柱 | 内柱 |
柱頭:梁の半分=340KN・m | 柱頭:梁と同じ=680KN・m | 柱頭:梁と同じ=680KN・m |
Q=(340+1000)/4=335KN | Q=(680+1000)/4=420KN | Q=(680+1000)/4=420KN |
柱脚:Mc=1000KN・m | 柱脚:Mc=1000KN・m | 柱脚:Mc=1000KN・m |
□Qu=335+420+420+335=1510KN ラーメン4列あるので、保有水平耐力Qu=1510×4=6040KN
□保有水平耐力時、層間変形角θ=1/50と変位δu=h/50(S造ラーメン)
S造ラーメンの大地震時の層間変形角θ=1/50と設定する。 θ=δ/hなので、δ=θh→δu=h/50
X方向、軒高h=16mの時、δ=16/50、δu=0.32m
□保有水平耐力時、固有周期Tu=2π√(Mu・δu/Qu)
多質点系を1質点系に置換する。1質点系の有効質量Mu=建物重量×80%とする。尚、質量表示に変換(KN→t)
有効質量Mu=10500KN×80%=8400KN、更に質量に変換 8400KN→Mu=840t
X方向、Tu=2×3.14×√(840×0.32/6040)≒1.4秒、Tu≒1.4秒
③□骨組損傷開始時の降伏強度 地震力Qy=建物重量W×Co
Co=0.25(250gal)程度で骨組みが損傷(降伏)すると仮定。標準剪断力係数Co=0.25=地震力Qy/建物重量W
Qy=10500×0.25=2700、Qy=2700KNで損傷が始まる。
□損傷開始時、層間変形角θ=1/200と変位δy(S造ラーメン)
S造ラーメンの降伏強度Qyでの損傷時の層間変形角θ=1/200とする。(C0=0.25と仮定) θ=δ/hなので、δ=θh→δy=h/200
X方向、軒高h=16mの時、δ=16/200、δy=0.08m
④□地震加速度の低減率Fh=1.5/(1+10h)
地震エネルギーの吸収効果は、損傷程度Df、及び減衰定数hから求められる、地震加速度の低減率Fhとして評価される。
□骨組みの塑性損傷程度Df=δu/δy×Qy/Qu
X方向、Df=0.32/0.08×2700/6040≒1.8、Df≒1.8
□減衰定数h=0.25(1-1/√Df)+0.05(木造は強度にばらつきがあるので0.2とする)
X方向、h=0.25(1-1/√1.8)+0.05≒0.12、h≒0.12
→低減率Fh=1.5/(1+10h)
X方向、Fh=1.5/(1+10×0.12)=0.68、Fh=0.68(68%)←これが知りたかった!地震時水平力が68%に低減される。
⑤□大地震時に骨組みに作用する地震加重Pi=Gs×mi(質量)×α×Bsi×Fh×Z (Bsiは、R階1.5、5階1.0、4階0.8、3階0.6、2階0.4とする)
□地震加速度応答スペクトルを用い、建物周期Tuより応答加速度αを算出。
Tu<0.16秒の時、加速度α=(3.2+30Tu)、0.16秒<Tu<0.64秒の時、加速度α=8m/s2、0.64秒<Tuの時、加速度α=5.12/Tu
X方向、Tu=1.4秒>0.64秒なので、α=5.12/1.4=3.66、α=3.66m/s2(366gal)
□表層地盤による加速度増幅率Gsを1.5倍とする。(2種地盤で1.5~2.025)
X方向、R階:PR=1.5×210t×3.66m/s2×1.5×0.68×1=1180、PR≒1180KN
X方向、5階:P3=1.5×210t×3.66m/s2×1.0×0.68×1=780、P3≒780KN
X方向、4階:P3=1.5×210t×3.66m/s2×0.8×0.68×1=620、P3≒620KN
X方向、3階:P3=1.5×210t×3.66m/s2×0.6×0.68×1=470、P3≒470KN
X方向、2階:P2=1.5×210t×3.66m/s2×0.4×0.68×1=310、P2≒310KN
⑥□必要保有水平耐力Qun(1階の層剪断力をQunとする)
大地震時の水平荷重によって各層には層剪断力が生じる。その層剪断力Qiにつり合う剪断耐力が必要保有水平耐力Qunである。
X方向、1階の層剪断力Qun=1180+780+620+470+310=3360、Qun=3360KN
※有効質量Mu用い、Qunを一発で出す方法。Mu=0.8Mall=840t、α=5.12/Tu=5.12/1.4=3.66m/s2、Fh=0.68。Qun=1.5×Mu×α×Fh=1.5×840t×3.66×0.68=3140KN
⑦□必要値Qun<保有値Qnの確認
X方向、必要値Qun=3360KN<保有値Qu=6040KN
P・Δ効果はQuの10%以内であることの確認
□ΔQ×h=P×Δ ΔQ=P×Δ/h ΔQ=10500×0.32/16=210KN ΔQ/Qu=210/6040=4% OK