限界耐力計算は2000年の改正基準法で登場した設計法。限界耐力計算では、工学的基盤(地中深くの硬質基盤、剪断波速度Vs>400m/s2の地層)で地震加速度の基本値を設定し表層地盤による加速度の増幅を計算に盛り込む。地震加速度は、建物を1質点系に置き換えた加速度応答スペクトルで定義される。地震加速度が建物の固有周期に応答する特性を用いて地震力を算定する。大地震時の尾根組の損傷の程度を変形量で明確にし、地震エネルギー吸収能力を「変形量=変形角」で評価することが特徴。骨組みの耐震営農を耐力と変形で直接検証する。
地震力算定用の建物荷重W階高を2分した重さを最上階は9KN/㎡、他階は4.5KN/㎡とする。(スラブ厚130)W=15600KN
  3F(578㎡),2F(578㎡),1F(578㎡)の場合、R階:9×578㎡=5200KN、3階:4.5×578㎡×2=5200KN、2階:4.5×578㎡×2=5200KN
これ以上耐力が上がらない 保有水平耐力Qu=Σ25Aw+Σ7Ac(Aw:壁の断面積、Ac:柱の断面積)
  X方向、Qux=Σ25Aw+Σ7Ac=0(壁0)+7Kg×60cm×60cm×24本(柱)=610000Kg、Qux=6100KN
 保有水平耐力時、層間変形角θ=1/65と変位δu=h/65(RC造ラーメン)
  RC造ラーメンの大地震時の層間変形角θ=1/65と設定する。 θ=δ/hなので、δ=θh→δu=h/65
  X方向、軒高h=11mの時、δ=11/65、δu=0.17m
 保有水平耐力時固有周期Tu=2π√(Mu・δu/Qu)
  多質点系を1質点系に置換する。1質点系の有効質量Mu=建物重量×80%とする。尚、質量表示に変換(KN→t)
  有効質量Mu=15600KN×80%=12500KN、更に質量に変換 12500KNMu=1250t
  X方向、Tu=2×3.14×√(1250×0.17/6100)≒1.2秒、Tu1.2秒
骨組損傷開始時の降伏強度 地震力Qy=建物重量W×Co
  Co=0.25(250gal)程度で骨組みが損傷(降伏)すると仮定。標準剪断力係数Co=0.25=地震力Qy/建物重量W
  Qy=15600×0.25=3900、Qy=3900KNで損傷が始まる。
 □損傷開始時層間変形角θ=1/300と変位δy(RC造ラーメン)
  RC造ラーメンの降伏強度Qyでの損傷時の層間変形角θ=1/300とする。(C0=0.25と仮定) θ=δ/hなので、δ=θh→δy=h/300
  X方向、軒高h=11mの時、δ=11/300、δy=0.037m
地震加速度の低減率Fh=1.5/(1+10h)
  地震エネルギーの吸収効果は、損傷程度Df、及び減衰定数hから求められる、地震加速度の低減率Fhとして評価される。
 骨組みの塑性損傷程度Df=δu/δy×Qy/Qu
  X方向、Df=0.17/0.037×3900/6100≒3.0、Df≒3.0
 減衰定数h=0.25(1-1/√Df)+0.05(木造は強度にばらつきがあるので0.2とする)
  X方向、h=0.25(1-1/√3.0)+0.05≒0.16h≒0.16
  低減率Fh=1.5/(1+10h)
  X方向、Fh=1.5/(1+10×0.16)=0.58、Fh=0.58(58%)←これが知りたかった!地震時水平力が58%に低減される。
大地震時に骨組みに作用する地震加重Pi=Gs×mi(質量)×α×Bsi×Fh×Z (Bsiは、R階1.0、3階0.8、2階0.6とする)
 □地震加速度応答スペクトルを用い、建物周期Tuより応答加速度αを算出
  Tu<0.16秒の時、加速度α=(3.2+30Tu)、0.16秒<Tu<0.64秒の時、加速度α=8m/s2、0.64秒<Tuの時、加速度α=5.12/Tu
  X方向、Tu=1.2秒>0.64秒なので、α=5.12/1.2=4.27、α=4.27m/s2(427gal)
 □表層地盤による加速度増幅率Gsを1.5倍とする。(2種地盤で1.5~2.025)
  X方向、R階:PR=1.5×520t×4.27m/s2×1.0×0.58×1=1930、PR≒1930KN
  X方向、3階:P3=1.5×520t×4.27m/s2×0.8×0.58×1=1545、P3≒1545KN
  X方向、2階:P2=1.5×520t×4.27m/s2×0.6×0.58×1=1159、P2≒1159KN

必要保有水平耐力Qun1階の層剪断力をQunとする
  大地震時の水平荷重によって各層には層剪断力が生じる。その層剪断力Qiにつり合う剪断耐力が必要保有水平耐力Qunである。
  X方向、1階の層剪断力Qun=1930+1545+1159=4634、Qun=4634KN
  ※有効質量Mu用い、Qunを一発で出す方法。Mu=0.8Mall=1250t、α=5.12/Tu=5.12/1.2=4.27m/s2、Fh=0.58。Qun=1.5×Mu×α×Fh=1.5×1250t×4.27×0.58=4643KN
必要値Qun<保有値Qnの確認
  X方向、必要値Qun=4634KN保有値Qu=6100KN