住宅を診て治す、住宅医の調査診断から改修の概要  三澤文子・Ms建築設計事務所、滝口泰弘・滝口建築スタジオ

■古い建物の保存利用が多い英国での歴史は古く、英国内25大学に「建築病理学講座」が開設されています。
日本でも「建築病理学」に基づいた既存建物診断技術・制度の整備の必要性がでてきています。
スクラップ&ビルドの時代から、健全な住環境を提供する「長寿命住宅」に目をむける時代にきています。

■「建築病理学」とは建築に関連した病気を研究する学問分野で、建築物に発生する各種劣化や不具合(ひび割れ、傾き、変形、沈下など)あるいは欠陥事象を研究対象とする分野です。

■住宅医による既存住宅の調査診断:3段階(既存住宅インスペクションガイドライン2013年国土交通省)

一次的調査(劣化調査)目的:既存住宅の現状把握中古住宅売検査検査、定期点検
二次的調査(耐震診断)目的:不具合箇所を修繕耐震診断等
性能向上調査(住宅医による診断)目的:性能向上リフォーム性能向上インスペクション

■既存住宅の改修 5つの柱
1:既存住宅の調査・診断をおこなう
2:耐震性能の向上を目指す
 ①地盤種別
 ②平面立面の特徴
 ③軸組の特徴
 ④継手の位置
 ⑤耐力壁の種別・壁・配置位置
 ⑥床面の先行破壊防止:床面の水平剛性と耐力壁の配置
 ⑦接合部の抜け防止:外周梁のフランジ効果、耐力壁構面上の梁、耐力壁端部柱の引抜
 ⑧アンカーボルトの有無・配置
 ⑨部材断面と腐朽・劣化の程度
3:断熱性能+省エネの向上を目指す
 ①「断熱等級5または6、気密性能はC値2.0を切る」を目標にする。
4:プランニングでは バリアフリーの意識を
 ①既存住宅プランの問題点と住まい手の不満を分析して改善する。
 ②既存住宅プランの骨格を尊重して改善すること
 ③プランの中を仮想で歩き、気持ちが良いかどうか確かめる。
 ④室内外の安全のために段差をなくす、もしくは段差は150mmまでに。
5:劣化対策とメンテナンス容易性に留意する
 ①木部を水から守る(遠ざける)ことが必至」そして点検しやすく!