サウンディングデータから長期許容支持力と沈下量を推定する。

◼️地盤の許容支持力を求める地盤調査の種類

1.標準貫入試験

:63.5kgfのおもりを75cmの高さから自由落下させ、地盤に30cm貫入させるのに要した落下回数をN値で表す。

2.平板載荷試験

基礎を設置する深さまで試掘を行い、載荷板を置いて荷重を作用させて沈下量を測定し支持力を判定する。

3.SWS試験

試験機を回転させながら地盤の締まり具合を測定する方法。調査可能深度は10mくらいまで。木造住宅の地盤調査方法としては適している。

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SWS試験:ヤマベの木構造より

4.表面波探査法

起振器で人為的に振動を与え、その振動の伝わり方で地盤の締まり具合を測定する方法。

◼️SWS試験データは、次の3点に注目する。

地耐力は、「地盤の支持力」、「沈下量」が決定要素となる。

①土質:粘性土か砂質土か

②自沈層の有無:有りの場合はその荷重(Wsw)

③1m当たりの半回転数(Nsw)

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:参考例(サウンディングデータ):ヤマベの木構造より

:土質名:粘性土
荷重Wsn:GL-750が0.75kN以下で、その他は1kN。
1m当たりの半回転数Nsw:GL-0.5m〜-1.25m、GL-2.25〜-2.75m、
  GL-3.5m〜-3.75m、GL-4.5m〜-5.0mまでは0。その他は4以上。

◼️地層構成概念図に表す

自沈層と良質地盤とが互層になった地盤だとわかる。

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地層構成概念図
「基礎底面から2Mまでの範囲」→自沈層 0.75m
「基礎下2M~5Mまでの範囲」 →自沈層 1.25m

◼️地盤の支持力の算定

基礎底部から下方2M以内Nsw(1m当たりの半回転数)の平均値を計算する。※Nswの平均値は、(4+8+8+4+8)/8=32/8=4となる。
基礎底部から下方2M以内の荷重Wswの平均値を計算する。※Wswの平均値は、7.75/8=0.96≒1とする。

計算しなくても、基礎底部から下方2M以内のNswの平均値で、表から地耐力を読み取れる!
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長期許容支持力換算表:ヤマベの木構造より

計算するのであれば、

SWS試験結果から支持力を求める計算式
①粘性土:qa=38Wsn+0.64Nsw
②砂質土:qa=20Wsn+0.67Nsw
 (qa=換算N値×10、N=2Wsn+0.067Nsw)
③告示式:qa=30+0.6Nsw (土質に関係なく)
※Nsw:基礎の底部から下方2M以内の距離にある地盤のNswの平均値。
 (ただし、Nsw>150の場合は150とする)

:ヤマベの木構造より

よって、地盤の支持力は
①粘性土:qa=38Wsn+0.64Nsw= 38×1+0.64×4≒40kN/㎡
③告示式では:qa=30+0.6Nsw= 30+2.4≒32kN/㎡ となる。

よって、地盤の支持力は、≒3.2トン(告示式)

◼️地盤の沈下量の推定

:地盤の沈下には、「即時沈下」と「圧密沈下」の2種類がある。

 木造の重量は基礎が支配的なので、2階建も平屋も沈下量はほぼ同じ。

「即時沈下」

はSWSの試験結果からは求められない。荷重がかかると直ぐに生じる沈下で、木造の場合は軽いので基礎工事の段階で沈下が生じた後はほとんど進行しないと思われる。(基準:即時沈下量は2cm以下

「圧密沈下」

は粘性土中の水分が長い時間をかけて抜け出すことにより生じる沈下でSWS試験から推定できる。(基準:圧密沈下量は10cm以下
(※許容圧密沈下量は5cm以下が望ましい)

◯「基礎底面から2Mまでの範囲」でWsn≦1.0kNで沈下する層厚は、 0.75m
  
→沈下量3.3cm
◯「基礎下2M~5Mまでの範囲」でWsn≦1.0kNで沈下する層厚は、 1.25m
  
→沈下量1.4cm

沈下する層厚をだせば、表から沈下量がわかる!上記0.75m(底面-2m)1.25m(2m-5m)

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自沈層の圧密沈下量推定表:ヤマベの木構造より

※推定圧密沈下量は3.3+1.4=4.7cm となり、5cm以下と推定される。

◼️地盤の支持力と基礎選定

A:布基礎 (5Ton基礎) 50kN/㎡≦地耐力
B:布基礎 (4Ton基礎)40kN/㎡≦地耐力≦50kN/㎡
C:布基礎 (3Ton基礎)30kN/㎡≦地耐力≦40kN/㎡
D:ベタ基礎 地耐力<40kN/㎡
E:ベタ基礎 50kN/㎡≦地耐力または表層改良

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基礎仕様リスト:ヤマベの木構造より

◼️最後に、地盤は不確定要素が多いので、地盤調査のデータに振り回されずに土質や地層構成などあらゆる場合を想定し、上部構造を含めて総合的な判断を行う。

圧密沈下は、圧密沈下層が1mあるごとに、1年程度の期間、継続して進行します。

木造や鉄骨造2階建ての建物荷重は、概ね10~20KN/㎡程度。盛り土で考えると50cm~100cm。

ボーリング調査において、N値10以上の転圧良好な地盤では、直接基礎を採用しても問題が生じる可能性は低いですが、N値5未満であれば沈下が生じる恐れがあります。

一般的に砂質土を良質土といいますが、砂質土にやや粘性土が混ざっているものの方が、締まりやすい土となります。

地盤改良の設計基準強度は、一般的にはFc=150KN/㎡~300KN/㎡。この1/3の荷重が常時作用する荷重で、Fc=150KN/㎡であれば/㎡基礎を支えられる地盤改良を意味します。固化材の量は、一般的には100kg/㎥程度。セメント系固化剤を混入する影響で土量は1割程度膨張します。表層地盤改良の厚さは原則50cm~200cm。