2025年に法改正が予定されており、許容応力度計算の必要性が強まる傾向です。すでに金融機関では、2025年対応が融資条件になっているところも出てきました。

【許容応力度計算】

地震大国の日本ですが、日本で建っているおよそ80%にあたる木造住宅は、構造計算がなされていないのが現状です。2016年に発生した熊本地震、震度7という非常に大きな揺れが2回も発生し、これまで安全だとされてきた2000年以降の「新耐震基準」の建物が多くの被害を受けた事実に衝撃が走りました。構造計算をしていれば、倒壊を防げたかもしれません。「建物の構造安全性を科学的に根拠をもって検証し確認するための計算」のことを構造計算と言います。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物は構造計算が法律で義務化されておりますが、木造の住宅だと、面積規模で500㎡以下、木造の2階建て以下の建物については、構造計算が法律で義務化されておらず、「4号特例」により、設計者の判断に委ねられ、構造計算は免除という扱いになっている現状です。日本の家が構造計算されていないのはそのためです。

2025年の4月からは、その4号特例の適応範囲が縮小され、木造2階建てや延べ床200㎡以上の建物は特例からはずれ、確認申請時に、新たに構造関係規定等の図書の提出が求められます。また、構造計算をしないのであれば、基準も厳しくなり、構造計算をして建物を建てる方向に誘導されているようです。いつか必ず来る地震に備え、被害を抑えるためにも、これからは、許容応力度計算をおこなって、建物を建てることが求められています。

構造計算は手間と費用がかかることが心配されがちですが、適材適所の材料強度や断面計画を根拠を持っておこなうことで、コストダウンができたり、耐震等級や断熱等級を取得することで、補助金の対象になったり、安心感が得られたり、トータルとして、間違いなく良い選択だと思います。

■鉛直構面の応力解析

■水平構面の応力解析

■横架材の曲げモーメント解析

■基礎梁のモーメント解析