わたしたちがいま住んでいる家は、本来の日本の家と言えるのでしょうか。日本古来の伝統民家に学んだ家ではないのは確かです。

民家を読む~昔と今を未来につなぐ
□日本の家造りのエッセンスは、すべて古民家の中にある→「民家を読む」→昔と今を未来につなぐ
□日本人は、宝石を捨てて砂を拾っている:カールベンクス。独出身の建築デザイナー
□伝統の部材や技術は、貫、足固め、土壁、通し柱、石場置き、折置組、架構と間取りの開放性(可変性)
□伝統とは、常に新しい息吹を吹き込まれて、次の世代に引き継がれていくもの
□木造の民家は、美しく合理的な架構を持ち、潜在的にモダニズムにつながる簡潔さと現代性を併せ持っている
□民家は現代のコンクリート造や鉄骨造につながる。なぜなら、柱は梁とつながっているので動かせない。
□現代住宅の間取りは構造から解放された、お茶室や数寄屋の流れにある:建築史家・伊藤ていじ

【民家の魅力】
:「民家」には純粋な日本の世界があります。外来の手法に陥らず、他国の模倣に終わらず、すべてをこの国の自然と伝統から汲んで、日本の存在を鮮やかに示しています。自然から生み出された健康で素朴な、実用の美を見ることができます。無作為と無心の「純粋な用と美の姿」があります。人々の生活の日常が蘇ってきます。そこには、「世界に誇れる伝統文化」があります。
:伝統的な民家は、「美しいプロポーション」をしています。屋根はのびのびと翼を広げるように大きく、建物に深い陰影を落としています。使われている素材は、全て自然のもので生き生きとした息吹があります。長い間、風雪を受けた土壁や木には、時間をかけて自然に還ろうとする美しさがあります。
:古い民家では、その劣化の過程の変化が味わい深い美しさに変わります。この変化を「経年美化」と呼びたいと思います。雨や風によって土や木を削り、「風蝕」という自然変化を起こし、思いもよらない美しい痕跡を残します。素材は全て朽ち果てる運命にありますが、その過程において新しい時よりも輝くときがあります。それは年老いてゆく美しさです「滅びの美学?」。美しさの一つに、色の変化があります。「古色」という長い時間がつくる深い色です。木の種類によって色が違い、杉は、白木から飴色に変わり、最後は黒くなります。桧は、薄い肌色のような白木から飴色に変わりますが、最後は美しい灰色になります。建物の経年変化は木の色の変化でわかります。濃い色になるには時間がかかります。着色しなくても黒くなるのは杉ですが、着色したよりも深い美しい黒色になります。古民家の魅力の一つです。

月輪寺薬師堂(がちりんじ)山口市徳地上村:重要文化財

開創:聖徳太子が推古17年(607年)鹿野町清涼寺(徳地町串)に清涼山薬師堂を開創再建:重源上人が東大寺再建の用材を徳地から伐出された折、時の大政大臣藤原兼実公(九条家の祖)の協力を得て、清涼寺から鎌倉の始め(文治5年1 […]

管田庵(かんでんあん)「荒壁仕舞い」の美意識

□有名な大名茶人・松平不昧(ふまい)がつくらせた茶室・管田庵(かんでんあん)「荒壁仕舞い」:実際は、粗壁でないのに長い藁苆(わらすさ)をさりげなく、かつ美しく見えるようにレイアウトして、荒壁がそのまま現れているように仕上 […]

鹿児島の伝統的な住宅:続き間や縁側が多い。「家の作りやうは夏を旨とすべし、冬はいかなる所にも住まる」

□「何もない」と思っていた地域を見直し、そこにある貴重なものに気づく。自慢しあえる技術力は確かに残っている。その地で、地場の職人さんたちが作るからこそ、その地独特の個性も生まれる。 □鹿児島の伝統的な住宅は、続き間や縁側 […]

植久哲男:基本を知らずに、優れたものを創造するのは難しい。

「住まう工夫」基本は「創造性」。それには「自由な発想」と、それを担保する「技術」が共に必要なのはあたりまえです。 □植久哲男:山辺豊彦さんと「大工塾」を共催している建築家の丹呉明恭さんに「構造知識とつくり方を知ることは、 […]

趙海光 現代町家のルール:6m立方の箱型スケルトン 1棟の住宅ではできない一まとまりの環境をつくる

□趙海光「現在の戸建て住宅がつくり出す歪んだ街の風景を変えるには、大規模な街づくりでなく、戸建て住宅の設計仕様の中に街角をつくるためのルールを染み込ませておこう。」現代町家のルールとして提案したのが、6m立方の箱型スケル […]

日本の瓦の歴史は1400年。「土の感覚はヒトの脳に直接響く力がある」

昭和中期の最盛期には全国に50余の瓦産地が多彩な地域の風土瓦を生産していた。現在は、三州、淡路、石州の3大産地に絞られたが、特に日本海側の安田瓦、越前瓦、石州瓦の産地では、それぞれ雪に対する対処策を独自に昇華させ、地場産 […]

「民家型工法」標準化 若杉活用軸組構法は、全ての構造材を5寸角に集約する。

□六車誠二:「民家型工法」標準化「渡り顎のラップは60㎜」住宅フレームを数種類に限定しブラシュアップ。伝統的に杉だけの架構は意外と少ない。柱は桧か杉、横架材は松が一般的だ。松が松くい虫の被害を受け激減したこと。戦後拡大造 […]

左官職人 榎本新吉:「俺はプロじゃねえよ、職人だよ、…

□泉 幸甫:材料の現代における活かし方、もののより良い存在のさせ方など、ものをつくる原点から考える。設計者はモノづくり的でなければならない。木のこと、和紙のこと、鉄のこと、建具のことだとか、いろいろな素材の知識を増やし、 […]

保護中: リボンプロジェクト:空き家の資産価値を蘇らせる。

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