地産地消の素材を使った耐震性と居心地の良い高性能木造住宅のご紹介

はじめに:日本の気候風土に根ざした家づくり

近年、地震などの自然災害に対して耐性を持ちながら、地球環境にも配慮した住宅の建築に対する関心が高まっています。そこで、地産地消の素材を利用して、耐震性と居心地の良さを兼ね備えた高性能の木造住宅のコンセプトについて探っていきます。もし、自然を大切にし、災害にも耐えられる暖かく快適な家を求めている方ならば、ぜひ読んでみてください。

・地産地消の素材のコンセプトとそのメリット

:山口県の7割を占める森林。そのうち4割以上が木材生産のために造林された人工林。戦後の高度成長期に一斉植林された木が半世紀過ぎた今、伐採適齢期を迎えています。令和2年の強度調査の結果、県産材の強度は全国平均より高い数値が確認されました(山口県:スギ8.95kN/mm 、全国平均:スギ7.21kN/mm)。山口県には良い材料が豊富にあります。木は約60年の適齢期で伐採し、活用していくことで森の循環を助け、森を守ることができます。森が元気であれば、土砂崩れなどの山林災害も少なくなると言われています。森の恵みを受けて家づくり、そして地域の森を守り、緑豊かな国土を支える。地球環境という大きなテーマにも直結しています。

・住宅の材料を選ぶ際に気候や地域の特性を考慮する重要性

:地元の木材を建築物に使うと、同じ気候風土で育っているため長持ちすると言われています。又、伐採されてからも育ってきた年数以上の耐久性を持つといわれています。近くに良い材料があれば最高。どこで育ったのは知っていれば愛着もわきます。山口県では、スギ、ヒノキ、アカマツ、シイ等が供給可能です。尚、シイ(広葉樹)は表面が固く傷つきにくく、色調が高級材のホワイトオークに似ており、山口県に非常に多く自生しています。堅いので構造材としてより、カウンター等に使うと良さそうですね。一般に針葉樹に比べ広葉樹は比重が重く堅いため、針葉樹を「柔木」広葉樹を「堅木」と呼びます。一般にスギやヒノキに代表される針葉樹は直材がとりやすく加工性が良いことで、構造材や造作材として多くの部分に使われます。ちなみに適材適所という言葉は建築現場から生まれています。

・家を建築するために木材を利用することの利点の概要

:木材は、コンクリートや鉄などの材料に比べ、比重の割に強度が高く、軽くて丈夫です。繊維方向の軸力に強く、柱や束はその特性を活かしたものであり、梁は木材の曲げ強度を利用して横に架け渡し、貫や接合部はめり込みの力を利用。柔軟で加工性も良いことから、特徴を上手く使えば、取り替えや張り替えもできるとても優れた材料です。ライフサイクルの変化に合わせて、フレキシブルに間取りの変更を自由に行える架構にできるのも、木造の利点です。追って更に利点を紹介していきます。

・地産地消の素材を使った高性能木造住宅の事例の紹介

:これから更に増えると思われますが、公共建築物を例にあげると、楠こもれびの里や仙崎のセンザキッチンなどがあります。住宅でも問題無く使える材料です。架構を見せたり、木を見せることが出来るのも特徴です。温かみのある落ち着きがあります。

・これらの家が地震や他の災害に対して強靭な特徴

:地震の水平力は建物重量の約2割の力でかかると計算します。例えば建物重量が40トンであれば、8トンの地震力が作用します。木造は建物が軽いので、地震力の入力が小さくなります。同時に地盤対策も軽微で済みます。又、バランス良い設計は必須。架構構造により、木のめり込みや、仕口や継手で力が吸収され、倒壊に至りにくい(減衰設計)。耐力壁で家を守る(強度設計)があります。火災に対しても、木材は1分で1mmしか表面から燃えて(炭化)いかない木材の防火性能も検証されました。木造は日本の風土気候に根ざした造り方だと言えます。伝統構法からも先人の知恵が学べます。

・高性能木造住宅の温熱性向上効果についての考察

:かつて吉田兼好は「冬は体を温めればなんとかなるが、夏を考えて家をつくるべき」と言いましたが、気候も変化し、現在は、温熱性能向上は健康に大きな影響があり、冬でも18度以下にしないことが健康に良いとされています。温度変化(ヒートショック)の少ない家、隙間風の入らない家は、快適さが実感できます。断熱、日射、気密、防露の4つをコントロールすることが重要です。窓から冷気が降りてくるコールドドラフトにも注意が必要です。高齢者も安心。病気の少ない健康な家づくりは大切です。

・地産地消の素材を使って家を建築またはリフォームしたい人に向けたアドバイスとヒント

:木は優れた建材ですが、弱点は、水と湿気です。結露も含めて、外部が木材なら、なるべく軒を出して雨がかからないようにするとか、通気工法で湿気を逃がすなど注意すべきです。狂いがでないように乾燥材(含水率15%~20%)を使うことも重要です。腐朽や蟻害対策(材種選定や通気)も必要です。重量衝撃の遮音性は低いので、静けさが必要な部屋は2階にするなどの配慮も必要です。しかし、多世代に渡り、長寿命の家に暮らし続けるのが出来るのは、フレキシブルな木造です。木の素材は調湿効果もあり、木や土壁に囲まれると不思議と癒やされます。我が家の耐震性能や断熱性能や防火性能を県産材を用いて向上させ快適な住まいにするのも良いし、解体されそうな空き家や民家を県産材と新技術の融合で高性能な夢の家に変えるのも素晴らしいと考えます。むしろ民家では丈夫な骨組みを見せる改修が良いと思います。スクラップ&ビルドからストックの時代へ。希望も込めて。

:地産地消の素材を利用して耐震性と居心地の良い高性能木造住宅を作るコンセプトについて紹介しました。同じ気候や地域で育つ素材を利用することで、自然へのつながりを感じながら、地震や他の災害に耐えるための構造的な強度も備えた家を実現することができます。もし自然を大切にし、暖かく快適な家を求め、耐性を重視したいのであれば、地産地消の素材を取り入れた夢の家の可能性を探ってみることをおすすめします。